春からずっと、キャンパスは慣れないスーツ姿でぎこちなく歩く学生で溢れている。4年生を対象としたゼミは、学生の3割ほどしか集まらず、授業にならないらしい。それも、学生の将来を考えればしょうがないと諦めるしかないのか。
就職協定なるものが形骸化して久しい。私の頃は確か7月1日が採用活動の解禁日だったはずだ。現在は、一応、企業は新年度が始まってから採用をスタートするのが望ましいとされてはいるが、前年度から(学生が3年生のうちから)マスコミなどは採用をスタートさせている。
このところ3年連続で大卒の就職内定率は上昇し続け、今年もそれを上回るペースで進んでいると聞く。事実、男子学生が3つも4つも内定をもらったと誇らしげに話す姿に出会う。うれしいのは学生数人から「先生の授業がすごく役に立ちました」と感謝されたことだ。
彼らが言っているのは「コミュニケーションのワークショップ」という授業のことだ。国際ビジネス専門の先生と私の二人で担当し、ビジネスの現場を想定したグループワークや発表をさせる。そこで取り組ませた、文章を耳で聞いて内容を伝達していくゲームや、グループの話し合いで新しいアイデアをまとめて発表するといった演習が、ほとんど変わらない形で課題として課せられたそうだ。
授業では「答えは一つではない。自分なりに考えることが大事」と口を酸っぱくして言って来たのだが、それを思い出してくれたのだろうか。彼らは皆内定をもらっていた。さすが私の生徒とうぬぼれるつもりもないが、それだけ企業が学生を採用する上でコミュニケーションを重視し出したということだろう。
一方で、授業でも目だって優秀で企業からのウケもよさそうな女子学生が、ことごとく面接で落ちているのが気にかかる。緊張だけが理由ではない。未だに就職では女性が不利という状況は厳然としてあるのだ。ある女子学生は女性の下着なども扱う企業に内定をいただいたが、全30人中女性は2人だけだという。
女性は一般的にすぐ辞めるからという理由だけで落とされているのだとしたら、企業はなんともったいないことをしているのだろうと呆れ返る。女子学生の側も、本当に男性と肩を並べて働き続けたいのか、本心では20代で寿退社しようと軽く考えてはいないか、自分と改めて向きあってほしいものだ。
それにしても、就職活動の時期ばかりが先行しているだけで、その実情は私の頃、15年前とほとんど変わっていないことに愕然とする。企業が変わっていないのか、学生が変わっていないのか。いずれにせよ、雇用環境が弾力化したとは言いがたい。
そんな中、メガバンクを断って働きやすい地元の地銀を選ぶ学生や、起業を目指して中国に留学する学生の話を聞くと、救われる気持ちになる。一人でも二人でも我が道を自信を持って選択できる学生が出てくるのは喜ばしいことだ。
就職活動によって初めて社会の厳しさを知り、自分と向き合って考え抜いた学生は、卒業を目前にして頼もしく成長した姿を見せる。学生によっては、内定した会社は本当に自分にとっていい会社なのか悩み出すこともあるという。卒業目前の1月から3月、採用活動を行う企業があれば、もしかしたらかなり優秀な学生を集められるかもしれない。
そんな勇気ある会社はありませんか?
2007.06









