夫曰く、我が家の長女『まくら』は“女子アナ犬”なのだそうだ。もちろん、私への皮肉を込めた表現だ。
カメラを向けると潤んだ瞳でじーっと見つめ、営業スマイルを送ったかと思えば、目下の2匹には、時に耳にかみついてまで上下関係を教え込もうとする。自分以外がかわいがられることなんて許せない。他の2匹を私たちが構っていると、遠くからでも猛然とダッシュしてきて、体当たりを食らわすのだ。
「このまくら様が一番かわいいんだからね!」
とでも言いたげだ。
私としては、ちょっと「女子アナ」の定義を間違ってはいまいかと疑問に思うのだが、夫はこの表現が気に入っているらしく、方々で使っている。その度ごとに、私がいたたまれない思いをする。
逆に『まくら』が人から褒められると、まんざらでもない。以前、テレビ番組に3匹と共に出演した際には、彼女の堂に入ったカメラ目線に、ディレクターからお褒めの言葉をいただいた。
「そりゃあ、そうでしょう。だって、プロですから」
『まくら』と私はお互い、プロとしての誇りを胸に、うなずきあったのだった。
そんな『まくら』には、実は女子アナらしからぬ、へんな癖がある。それは、人のお風呂を覗くという、あまり大きな声では言えない趣味だ。
お風呂が沸いたことを知らせる電子音が流れると、一目散に風呂場に走っていって、待ち構えている。夫や私がドアを開けて入ろうとすると、すかさず忍び込むワザを修得した。湯船から流れ出たお湯をペロンペロンとなめ、浴槽の縁に登り、立ち上る蒸気にあたってウットリ。しっぽをフリフリしながら、さもうれしそうに。シャワーだけのときは、行動を起こさないので、どうやらお風呂がお好みらしい。
ヒミツの趣味を大公開してしまったフォローに、最後に一つ、ご自慢の特技を披露しよう。「まくら」はサッカーが大得意なのだ。
サッカーボールを持ち出そうものなら、一気にテンションが上がる。蹴ってやると鼻で起用に蹴り返す。ポーンと高い玉には、ヘディングで応酬。何メートルも鼻ドリブルで駆け上がり、ソファーと壁の隙間に見事なシュートを見舞わせる。ロナウジーニョさながらのファンタジスタぶりだ。
このサッカー好きは、スポーツライターをしている夫に似たのだろうか。
あれ?『まくら』、私に似たの、夫に似たの。どっちなの。
2009.07









