先日、こんなメールが来た。
「新規事業の立ち上げを任されることになり、そこの社長をやることになりました」。
『HBS2002』として登録しているメーリングリストに、リストメンバーの一人から送られてきたものだ。『HBS2002』とは、ハーバード・ビジネススクールではなく、法政ビジネススクールで、2002年入学という意味だ。マーケティングコースの同期13人は、卒業後4年たった今でもメールでの情報交換と、定期的に開く宴会は欠かせない。
同期の中から2人目となる社長誕生である。祝福メールが次々と届く。20代から40代まで、幅広い職種で構成されていた13人の中で最年少だった彼が、社長とは。皆、兄貴、姉貴分として、誇らしい気持ちがこみ上げる。ハーバードではないけれど、法政も結構やるぞ、と。
ビジネススクールを出たお陰、と、言ってもいいと思う。
2年間、昼間は普通に仕事をしながら、夜間、週3日ほど学校に通った。レポートと発表の準備で睡眠時間を削り、慣れない統計ソフトと格闘し、正月返上で論文を書いた。かかった学費は約200万円。それよりもっと多くの自分の時間と労力を投資した。
「私たちって、自分でお金払って辛い思いしているなんて、マゾだよね」と何度笑い合ったことか。
MBA(経営学修士号)をいただけたときは、苦労が報われた思いをしたが、それ以上に、学ぶ過程にこそ、価値があった。知識を吸収することは純粋におもしろいし、理論と実務を結びつける作業も、社会人だからこそ意味がある。年齢・職種が様々な“ミニ社会”の中で、自分の仕事や社会での位置を客観視できたことは、その後の選択に大きな影響を与えた。
だから、ビジネススクールは転機を呼ぶ。私は、在学中に結婚して、テレビ東京を退職して、フリーアナウンサーの道を歩み始めた。同じく、在学中に結婚した女性が一人、卒業後、転職した人が3人、起業した人が2人となった。MBAが直接ものをいったわけではないが、ビジネススクールで自分を見つけなおしたことで、やりたいことが見えてきたのだと思う。
200万円の投資はもとを取れた、と言っておこう。私の場合はさらに、フリーに転身した後、修士論文の学会発表をきっかけに声をかけていただいて、大学で教えるという道も開けた。今、関西学院大学でマーケティングを教えている。
同期からの社長就任を報告してきたメールは、こう締めくくられていた。
「2年後に単年度黒字化、5年後に営業利益5億円を目指します」
投資してこそのリターン。人生の最終損益を黒字にするには、自分への投資は欠かせない。
2009.07









