新日本フィルハーモニー交響楽団 パンフレット 2006年

新日本フィルハーモニー交響楽団との出会いは99年、井上道義さんの指揮の下、マーラーの交響曲を全曲演奏する「マーラーツィクルス」の時だった。交響曲5番の演奏をメインとして、井上さん&新日本フィルの取り組みをテレビ番組で紹介させていただいたのだ。それまでもコンサートの司会などはしていたのだが、一つの曲を徹底的に掘り下げて取材をするということは初めてだったので、たいへん刺激的な仕事だった。
リハーサルにも密着し、インタビューするにつれ、まるでオケの一員になったように気持ちが高まる。井上さんの独特な感性とオケの表現力とのぶつかり合いで、「何かすごいことになりそう」という予感がした。
本番は、演奏会としての緊張感と収録の張り詰めた雰囲気で、ホール全体に熱気が伝わる素晴らしい演奏だった。それが客席にいても共有できた。インタビューさせてもらった一人一人の表情を確かめ、どんなことを考えながら演奏しているのかを想像しながら聴く。すっかり自分も仲間に入った気分で緊張を共にする、格別な味わいを知ってしまった。
以来、新日本フィルを他人とは思えなくなった私は、コンサートに行き続けている。「何かすごいことになりそう」という期待を裏切られたことはない。
2003年にはクリスティアン・アルミンクさんを音楽監督に向かえ、新日本フィルは進化し続けている。アルミンクさんもラジオのクラシック番組でお話させていただいたことがあるが、お若いのに品格をまとい、音楽への情熱を燃やす、真の芸術家であった。小澤征爾さんとの出会いだけでなく、小さい頃にお父様の仕事で日本にいたことがあるというお話を聞き、日本のオケに来るべくして来た方なのだと、勝手に納得したものだった。
そのアルミンクさんと新日本フィルとのタッグは、「何かすごいこと」を創り出そうというエネルギーに満ちている。私はとりわけ、毎年プログラムに組み込まれるコンサート形式のオペラに魅せられている。限りあるステージをこんなふうに使えたのか、と感心するアイデアで演出した「サロメ」。同時期に上演のあった海外劇場のフィデリオよりも引き締まった演奏だった「レオノーレ」、ともに印象深いステージだった。今シーズンの「火刑台のジャンヌ・ダルク」もまた「すごいこと」をやったものだ。
おそらく、ホールに聴きにいらっしゃるお客様もまた、新日本フィルに「何かやってくれるんじゃないか」という期待を抱いていることと思う。アフターコンサートのパーティーなどでお話させていただくと、すみだトリフォニーホールができて以来ずっと通い続けていらっしゃるという、地元の方が多いのに驚く。皆、私などよりもよっぽど新日本フィルを「他人とは思えない」のだろう。新日本フィルが紡ぎ出す音は、そうしたファンの熱意と、ホール、そして指揮者の思いが一体となってこそ醸し出される暖かさがある。
そんなトリフォニー(三位一体)はまだまだ進行形だ。アルミンクさんの契約継続に万歳をしているファンは多いことだろう。今年も「何かすごいこと」をやってのけるのではないか。そんな期待をずっと持ち続けさせてほしい。

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